カメラ好きなら知っておくべき!カメラの市場規模と推移

こんにちは。カメラが大好きな@LENS_BLOG_です。

カメラ好きを標榜していると、カメラや写真について色んな質問や相談を受けます。その中でも意外と多いのが、「いまカメラってどのメーカーが調子いいの」とか「カメラメーカーって経営やばいんじゃないの」といった、カメラ市場の動向的なやつ。いやいや、家電屋やメーカーの人じゃないんだからそんなに知らないよ…と答えたくもなりますが、カメラ好きたるもの市場についても理解せねば!という使命感をもってるため知ってる範囲で伝えています。

ということで今回、CIPA(カメラ映像機器工業会)が出しているデータはグラフをもとに、いまカメラがどんな市況なのかを書いてみます。とはいえ専門家ではないので詳細でありませんので、温かく読んで頂ければと!笑

カメラとレンズの出荷台数と規模

まず一番分かりやすいのが出荷台数でしょう!

いきなり小さい文字でごめんなさい!こちらはデジカメの種類別の総出荷台数です。種類別に縦に並んでいて、かつ1999年から書いてあるためこんな小さくなってます。

一番下の行の「デジタルカメラ合計」を見てください。これ以上ないくらいに右肩下がりにさがっていますね。ピークだった2010年の1.2億台と比べると、去年の出荷台数は約8割減の2400万台…ディズニーシーの人気アトラクション、タワーオブテラーを彷彿とさせる垂直落下

こちらはカメラの種類別の増減をわかりやすくグラフにしたものです。CIPAがイベント向けに出した資料から抜粋。レンズ一体型(コンデジ)は入っておらず、一眼レフのみ。

ミラーレス一眼(グラフではNon-Reflexと表現)はなんとか2013年から維持しているものの、通常の一眼レフは毎年2桁%以上のペースで減ってますおいおい、カメラ事業ってやばいんじゃないかと思ったそこのあなた、その通りです(救いが…ない…?)。

デジカメが登場したのが1999年〜2000年くらいですから、それより前と比べるとまだ売上市場規模が高いそうですが、それもいつまで続くか。ここでちょっと疑問を感じるのが、「日本と世界を比べるとどうなの?海外の人たちがニコンやキャノンのカメラ持ち歩いてるとこを秋葉でたくさん見かけるんだけど?」という声。見てみましょう。

これは日本メーカーが海外に向けて出荷したデジタル一眼レフ(ミラーレス含む)の台数推移です。カメラは世界的に見ても日本メーカーのシェア率が9割以上ありますから、この数字がそのままグローバル市場と言っても過言ではありません。

意外に感じるのが、2400万台のうちの約85%が海外への輸出ということ。「日本市場てこんな小さかったのか」、「てかカメラメーカーってこんなにグローバル化されてたのか」という印象を持つはずです。特にニコンなんかは「ザ・日本企業」みたいなイメージありませんか?

あともう一つ見て頂きたいのがアジア市場の縮小!僕はこのグラフを見るまで、てっきり欧米は下がっていても、アジアの新興国は成長してるものだと思ってました。パープルの折れ線のアジアもまた、2012年を境に出荷台数は下落しています。今後は、Otherに含まれるアフリカや南米などでどう拡大していくか

こちらは全体の市場規模です。デジカメが登場したのが2000年頃ですから、それ以前と比べるとたしかに市場自体は大きくなっていますね。(そんな比較の仕方でいいんでしょうかw)

ところで、先ほどのカメラの出荷台数が下がっている原因は、日本メーカーが作るカメラの品質が良過ぎてなかなか壊れないことも一つです。かなり乱暴に使ったとしても5〜10年は全く問題なく使うことも出来ますし、もし多少調子が悪くなっても修理に出せばまた新品のようになって帰ってきます。

僕が愛用しているnikonのD600も使い始めて5年になりますが、調子が悪いと感じたことは一度もありません。そう考えると、出荷台数がピークだった2010年〜2012年に出荷されたカメラはほとんど今でも使われていて、2020〜2025年頃に買い替えピークがくるのかも?(完全に私見です)

今度はカメラではなく、交換レンズの出荷台数です。こちらはカメラと比べれば減少率は少ないものの、大幅に下がっているのは間違いない。市場規模を調べてると悲しくなってきましたので、別の角度で数字を見てみましょう。

メーカー別のシェア

◆デジタル一眼レフ部門

1位 2位 3位
2017 キヤノン(63.3%) ニコン(31.6%) リコー(4.8%)
2016 キヤノン(56.2%) ニコン(36.7%) リコー(6.7%)
2015 キヤノン(54.7%) ニコン(39.1%) リコー(4.5%)
2014 キヤノン(49.2%) ニコン(42.5%) リコー(5.2%)
2013 キヤノン(52.7%) ニコン(35.1%) ソニー(7.1%)
2012 キヤノン(46.3%) ニコン(39.2%) ペンタックス(7.5%)

BCNが出している、デジタル一眼レフのメーカー別シェア推移です。キャノンがじわじわとシェア率をあげてきていて、2016年には63.3%という非常に大きなシェアをとっています。僕はニコンのカメラを始めて買ったのは2008年で、それ以来ずっとニコンを買い続けている生粋のニコンユーザー。なのでこの表を見ると悔しい気持ちで一杯です。

そのニコンのシェアはどうかと見ると、年々順調にシェア率を下げてきてキャノンとの差が開いていますw。ちなみにこれより以前の年はもっとニコンとキャノンが肉薄していて、2008年はニコンがトップでした。

ニコンは今や第二の東芝と言われているくらいで、経済学者やアナリストなど色んな意見が飛び交ってますので、原因がどんなものかは検索して頂ければと思いますw。ニコンを愛する僕としましては、やっぱり初心者や女性のユーザーを獲得するための商品やマーケティングが出来なかったことにあるんじゃないかと。

◆ミラーレス一眼レフ部門

1位 2位 3位
2017 オリンパス(26.8%) キヤノン(18.5%) ソニー(17.9%)
2016 オリンパス(34.5%) ソニー(24.8%) キヤノン(13.6%)
2015 ソニー(34.3%) オリンパス(22.3%) パナソニック(11.9%)
2014 オリンパス(28.9%) ソニー(26.5%) パナソニック(14.2%)
2013 オリンパス(29.8%) パナソニック(23.3%) ソニー(20.1%)
2012 オリンパス(36.6%) パナソニック(29.3%) ソニー(27.3%)
2011 パナソニック(38.7%) ソニー(32.2%) オリンパス(29.1%)

ミラーレス部門は女性に人気の「PEN」シリーズをもつオリンパスが強い。PENはかわいらしいフォルムが人気の秘訣で、「カメラ女子」という言葉が流行るきっかけになったようなカメラです。キャラクターが宮崎あおいさんでおなじみ

 

一方で着々とシェアをのばしているのが、ここでもキャノン。キャノンは「EOS M」シリーズというミラーレスを発売して販売強化した結果、オリンパス・パナ・ソニーの牙城だったミラーレス市場を猛追して2位に食い込むという快進撃を続けています。

おそるべきキャノンの底力。僕はニコンユーザーなのでキャノンは応援したくないのですが笑、張本さんもあっぱれと言いそうな快進撃です。キャノンはマーケティングが本当に得意な会社。

年齢・性別ごとの変化

今度は、年齢性別などの購入者の属性別にどう変化しているかを見てみます。

こちらは男女比です。左のコンデジが男性が多くなっているのに比べ、右側のデジタル一眼は女性が多くなっているのが面白い点ですね!

コンデジの需要はほとんどスマホに食われてしまい、残っているのはRICOHのGRなど高級コンパクトカメラ路線か、GoProなどのアクションカメラ路線のどちらか。そのため男性が多いと予想されます。

デジタル一眼レフの購入者が女性が多くなっている点は、明るいニュースですね!操作性が改善されて簡単に撮れるようになって初心者の敷居が下がったことと、SNSの盛り上がりの二つの点から女性ユーザーが増えたんでしょう!なんとなく周りを見てればそんな感じしますが、こうやって数値の根拠があると本当なんだなと分かります。

こちらは年齢別のグラフ。これはもうダメっすね!デジタル一眼レフ市場を見ると、30歳未満は増えてきているものの、まだまだ少ないことは変わらず。もっともっと若いユーザーを取り込んでいかないと未来がなくなっちゃいます

てか、30代が減ってきているのがちょっと意外でした。子どもが生まれたり、生活が変化する人が多いしFBやインスタも流行っているこの時勢では、もっと多くても良いかなと思ったんですが…だれか原因分かる方いたら教えて下さい!

おまけ:フォトブック市場

最後におまけとして、フォトブック市場の推移を貼ってみました。こちらはフォトブック普及協議会という団体が出していたデータ。こちらによるとフォトブックの市場規模は年々増加していて、2014年時点で約500億円になっています。

この見立てがどこまで正確かは不明ですが…自分自身を振り返ってみても、写真を1枚づつ印刷する機会は減った一方で、フォトブックを作って見返したり人にプレゼントすることは多くなりました。記録や記憶としての写真はネットのクラウド上に保存し、ギフトや楽しむものとしての写真はフォトブックが担っていくのかもしれません。

最後に

これまで見てきた通り、カメラ業界が非常に苦境に立たされていることは間違いないでしょう。各社の決算がマイナスを叩いていたり、ニコンが早期退職を促したりと、何かと暗いニュースが多いカメラ業界。

一方で女性ユーザーが増えていたり、インスタなどの写真投稿型のSNSが流行っていたりと、暗さだけではない変化を感じる最近でもあります。

ここには載せておりませんが、調べた中ではデジタル一眼において日本メーカーのシェア率は世界で99%というデータもありました。ものづくり大国であった日本の最後の砦として、カメラメーカーには是非頑張っていただきたいと思っています。一人のカメラファンとして応援しています!

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プロフィール

Kenta Nakazato
平日は写真関連の企業に勤め、週末は写真を撮ってます。
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